そういう同情の言葉が欲しかったんじゃない。



「他にもやりたいことがあるんだったら、俺も一緒にやってやるから。
何でも言えよ?

俺はいつだって、お前と一緒にいてやるから」



"一緒にいるから"

その言葉が、欲しかった。


いくら同情の言葉を並べられても、あたしの心が揺らぐことはない。


でも、翔のまっすぐな言葉は、いとも簡単にあたしの中にあるダムを壊してしまうんだ。





真っ暗な未来に、ほんのりと輝く、不確かな約束。


あたしたちに"明日"はない。


だからこそ、永遠にしたい契りがある。


光の見えない未来を、あたしたちは温かな手を握りあって進む。



「…ありがとう…」



この日、あたしはやっと、17年間で1番素直な気持ちを口にすることができた。


今まで何度も"ありがとう"という言葉を口にしたことはあったけれど、

こんなにも伝えたいと思った"ありがとう"は初めてだった。