いつまでも君が好き

 驚いて、顔を上げる。

 驚いているのは私だけではなく、周りに座っているお客さん、そして、男の人も同じだったらしい。

 みんな目を丸くし、声の主を見つめている。

 声の主はその場からすっくと立ち上がると、パンパンと服を手で軽くはたいた。

「まったく……。服に穴があいたじゃないか。どうしてくれるの?」

「あ、あ……、あ……」

 顔面蒼白の男の人に向かって、

「洋服だって、タダじゃないんですよ」

 声の主、準斗は、にっこりと笑顔を向けた。

 男の人は準斗に笑顔を向けられた途端、汗をダラダラと流しながら、何か言おうと口を動かす。

 しかし声にはならずに、ただ口が金魚のようにパクパクと動いているだけだった。

 準斗は次に私へと笑顔を向けると、

「穂乃果。僕、生きてるけど?」

 男の人に向けた笑顔とは少し違う、温かみのある笑みを、私へと向けた。

 正直私にも、何が何だか分からない。

 確かにさっき、準斗は刺されたはずだ。なのに、今こうして私に笑顔を向けている。

 なぜそうしていられるのか。そんなの、私に分かるはずがなかった。

 ただただ準斗の顔を見つめ、その存在を確認することしかできない。

 男の人ではないけれど、ろくに言葉も発せそうになかった。