いつまでも君が好き

 苦しむ準斗を目の前にして、男の人はニヤリと笑みを浮かべた。

「あ~あ、やられちゃったな」

 まるで人ごとみたいに、軽い調子で言葉を発していく。

「カノジョの前でカッコつけようとするからだ。バカな奴め」

 人を殺しても、何とも思っていない男の人に、私は怒りを覚えた。

 私の大好きな準斗を……大切な準斗を……。

 あんなに簡単に殺して、それで何も思わないっていうの!?

 私は……私は……、こんなに悲しんでるっていうのに……。

 大切な人を失って悲しんでいる人の前で、よくもひょうひょうと笑っていられるものね!

 私は奥歯を噛みしめ、ひたすら湧き上がってくる怒りと悲しみに耐えていた。

 本当は、今すぐにでも男の人を怒鳴りつけたい。

 怒鳴りつけて、泣いて、準斗の名前を呼んで。

 感情を露わにして、少しでも気持ちを発散したい。だけど……。

 今ここでそんなことしても、何にもならないってことは、分かってる。

 逆に男の人を刺激して、自分まで痛い目をみることは、予測できる。

 だからせめて、駅に着くまでは……、我慢、しなくちゃ……。

 そう思い、今度は拳を膝の上で握りしめた時だった。


「ちょっと穂乃果、勝手に僕を殺さないでよ」


 聞き覚えのある、今一番聞きたかった声が、俯かせた頭の上から聞こえてきた。