いつまでも君が好き

 私が男の人へと視線を移すと、たまたま男の人もこちらを見ていたのか、目が合ってしまった。

 怖くなって、すぐに目を伏せる。

 しかし、男の人の言葉からは逃げられなかった。

「姉ちゃん、こんな男を彼氏に持っちまって、大変だなぁ。運悪いとしか言いようがないぜ。もしかしたら、姉ちゃんはこの車内で人生の最期を迎えるかもしれねぇな」

「な……」

 どこまでも攻撃的で意地の悪い台詞に、涙が出そうになる。

 ここで、私の一生は終わってしまうの……?

 一瞬、そんな悲しい考えが頭をよぎった。

 しかし、そんな考えは、準斗の一言によって捨てることができた。

 やや悔しそうにこちらを振り返った準斗と目が合う。

 準斗は小さく頷いてから、男の人へと向ける視線とは違う優しい視線を、私に送ってきた。

 そして言う。

「安心して、穂乃果。穂乃果の一生は、ここで終わりなんかしない。……僕が、そうはさせないから」

「っ……!」

 そうだ。見知らぬ人に、ちょっと脅されただけじゃない。

 ここが人生の最期? 何それ、ふざけないでよ。

 こんなところで、見知らぬひったくり犯なんかに刺されて死ぬなんて。

 そんなことできるかっていう話だよ。

 私はその時、強く思った。

 『準斗を信じよう』って。

 根拠なんてない。ただ、信じてみようって、そう思っただけ。

 それに……、信じる相手は、準斗だから。

 私が大好きで恋してる、準斗だから。信じてみようって思えるのも、当然なのかもしれない。