いつまでも君が好き

 その言葉に、男の人がぴくりと反応する。

 男の人は私へと視線だけを向けると、嫌らしくニヤリと獰猛な笑みを浮かべた。

 思わず身がすくむ。

「ほう。この坊主は、『ジュント』っつーのか……」

 低く呟いた男の人は、視線をまた準斗へと戻し、

「そこにいんのはお前の大事なカノジョか? ジュント、お前俺にナメた視線送ってると、カノジョの方を痛い目に合わせるぜ?」

 笑みを消さずに、そう言い放った。

 その時。
 準斗の表情が一瞬にしてさらに険しくなり、

「それは……やめろ」

 準斗の手が、男の人の手首を掴んだ。そして、自分の襟元からそれを引きはがそうと動く。

 それを感じた男の人は、意外にも素直に手を離した。

 準斗のかかとは床につき、電車がレールのつなぎ目を通ったことによって起きる振動で、小さく揺れる。

 初めて聞いた、準斗の低い声。

 その声に、私は息を飲んだ。
 準斗でも、あんな声が出せるんだ……。

 自由の身になった準斗は、またしても黙りこくるかと思いきや、そうではなかった。

 視線は男の人だけを捉え、じっと睨みつけている。それは先ほどからと変わらない。

 しかし今度は、ゆっくりと口を開き、言葉を発した。

「彼女には手を出すな」

「ほう……」

 準斗の言った"彼女"が、単なる女としての私を指しているのか、恋人としての私を指しているのか――。

 それは私には、分からなかった。

 まぁ多分、単に"女として"の方だと思うけど。