いつまでも君が好き

「あっ、そういえば、穂乃果」

「な、何?」

 準斗は何かを思いついたようで、ポンと手のひらを拳で叩いた。

 いきなり話を振られて、肩を跳ねさせる私。

「僕、今からちょっと遠くに行くんだけど……」

「うん」

「もしよければ、穂乃果も一緒に行かない?」

 えっ……、と、遠くって……!?

 準斗の口から発せられた言葉に、耳を疑う。

「と、遠くって、どの辺……?」

「ん~、電車で一時間くらいかな。ま、一時間なんて結構すぐだけど」

 いっ、一時間……。それって結構遠くないですか……?

「えっと……家族でお出かけ、とか?」

 夏休みだし、家族でどこか行くのかなー、などと思い、そう聞いてみる。

 しかし準斗は、首を横に振ってから言った。

「違うよ~、僕一人で行くんだ。ていうか、そうじゃなきゃ今、穂乃果の家に行こうとなんてしないでしょ」

 準斗に言われて、それもそうか……と納得する。

 確かに家族旅行だったら、家族みんなで準備してるはずだし。

 わざわざそんな時に、私なんかに会いに来ないか。

 私は深く納得し、

「そっかそっか、そうだよね」

 首を何度縦に振った。

「で、穂乃果も一緒に行く?」

「あっ……あぁ……えっと……」

 私が話の内容を把握したことを確認した準斗は、早速もう一度質問してきた。

 それにはすぐに答えられず、私は小さく声を漏らす。

 どうしよう……。
 もちろん行きたいところだけど、お母さんに許可もらわないと駄目だろうしなぁ……。

 悩める私を、薄く笑みを浮かべながら、準斗は見つめていた。