いつまでも君が好き

 おかしい。

 何度もそう思った。

 けれど、私にそれを伝えられるほどのコミュニケーション能力は、残念ながら備わっていない。

 ただ、「うん」と頷くことはしなかった。

 だって、今の私が一人なんて、そんなのおかしいから。

 準斗くんがいるのに。やっとできた友達がいるのに。

 いくらコミュニケーション能力がないからって、それを認めるのは嫌だったから。

 だから私は、「それは違うよ」とも言わなかったけど、「そうなんだ、私一人なの」とも言わなかった。

 そんな私は、どんな表情を浮かべているのだろう。

「あの……、笹山さん?」

 私が何も喋らないのを不審に思ったのか、桐生さんが声をかけてくれた。

 そこで私は、はっと我に返る。

「どっ、どうしたの?」

「いや……、なんか、ぼーっとしてたから、大丈夫かなって……」

 あなた達がそうさせたんですよ、桐生さん。

 桐生さんの言葉に、ムッとしてしまう私。しかし、言い返すことはできない。

 仕方なく、愛想笑いを浮かべながらこう言った。

「うん、大丈夫。ごめんね、ぼーっとしちゃって」

 誰でも言えそうな、ごく普通な一言。

 これだけ言うのも、正直なところ私にとっては、精神を使ってるのだけれど……。

 しかし、それを聞いた桐生さんは安心したみたいで、

「そう、ならよかったぁ」

 一言そう言うと、名古屋さんの腕をぐっと掴む。そしてそのまま、

「じゃ、あたし達はもう行くねっ。じゃあねっ!」

 名古屋さんを半ば強引に引っ張って行ってしまった。
 去り際には名古屋さんも、

「じゃあね~、笹山さん」

 そう言って、軽く手を振ってくれた。

 私は、そんな二人に、

「うん、じゃあね」

 呟くように小さな声で別れの挨拶をしながら、小さく手を振ることしかできなかった。