いつまでも君が好き

 私と準斗くんは、近くに設けられた坂を下り、砂浜へと降り立った。

 夏休み中ということで、地域の人達はたくさん来ている。

 観光客……は、さすがに来てないみたいだけど。
 この海はそんなに有名じゃないからね。

 準斗くんは、やはり海を見ることがあまりないみたいで、

「すごいね……。こんなすごい場所が、この町にはあったんだ」

 そう呟きながら、私の手にきゅっと力を込めた。

 や、ちょ……、準斗くん……。

 こういうの、私は慣れてないんだから……。いきなりやめてよ……。

「準斗くん、その……、手……」

「手? 手がどうかしたの?」

 勇気を出して切り出してみるも、準斗くんには伝わらない。

 もしかして準斗くん、天然入ってたりしますか……!?

「あっ、あのっ、私達……まだカップルとかじゃないんだし、さ……」

 私は、言葉を選んだつもりだった。
 準斗くんに、変な誤解されないようにって。

 だけどそれは、裏目に出てしまったらしい。

「ねぇ、穂乃果」

 準斗くんは私へと顔を向けながら、静かに言う。

「"まだ"カップルとかじゃないって……、どういうこと?」