「・・・龍兄ぃ・・・」



「そっか、残念だな。 でも気が変わったらいつでも電話して」



といって左手の親指と小指だけを立てて、左耳にあて、軽く振ってみせた。



「はい」
「ご連絡はしませんので他を当たってください」



スカウトマンは肩を竦めて遠ざかって行った。



「・・・ったく、お前は。 ホイホイ着いて行くんじゃねぇぞ」



「でもっ、イノヴィスのモデルだよ?!」



「ちょっとは疑えって事だ!!」



「・・・は~い」



「はぁ~、ホントに分かってんのかよ。やっぱ1人暮らしなんて危険過ぎだな・・・」


後の方は小声で言っていたけど”1人暮らし禁止令”なんて出されたらたまんないっ!!


「だ、大丈夫っ、気を付けるからっ」


もう必死だ。


「気を付けろよ」


そう来ることを分かっていたかのようにニヤッと口角を上げて怪しく笑った。


実の兄なのに・・・なんか・・・ちょっと・・・ドキッとしちゃったよ~


「う、うん」


平静を装ってなんとか返事した。