桜の花が散り始めて春も終わりを告げようとしていた。


私は坂下梨香。身長の伸び悩む高校2年生。


ロングでストレートの黒髪にメガネで化粧っ気もなし。可愛くなりたいとは思うけど今更変わるのもどうかと思う今日この頃。


私は学校の屋上に寝転がっていた。授業が始まる前の至福のひと時。


なのに今日は一人じゃない。


右隣にいるのは榎本修。いわゆる幼馴染で同じクラス。すごくかっこよくて話も合う私の好きな人。


左隣には沢木渉くん。こちらも幼馴染で一個下。弟と仲がいいから自然と私も仲良くなった。


そしてあと二人は私の弟たち・和也と龍太。二卵性双生児で性格は正反対だけど可愛い二人。


2年生に上がってからこの5人でいるのが当たり前になった。


一緒にいると心地よくて気を遣わなくていいし楽。


修にはずっと恋をしているけど今の状態が好きでそれを壊したくない。


永遠に続くなんて思ってないけど終止符を打つ役は私であって欲しくない。


「気持ちいいなぁ~。でも夏になったらこんなこと出来ねぇな。焦げちまう。」


「真っ黒になるのは勘弁。でもこの気持ち良さは格別なんだよね。」


そんな会話をしているうちに授業開始のチャイムが鳴る。


バッと起き上りみんなダッシュ。


教室に入ると丁度先生が来た。ギリギリセーフ。修と顔を見合わせてにっこり笑う。


満天の笑みの彼がなんか愛しい。


私の席は窓際の一番後ろ。暖かい日差しが差し込んでいる。寝そうだ。


外に目をやると飛行機雲が見えた。なんて天気がいいのだろう。


ウトウトしていると携帯のバイブ音が鳴った。


先生に見つからないようにこっそりメールを開く。