「えっ…!?ちょ、なに!?」

あたりをみまわしても、一面真っ白。
入ってきたはずの入り口もない。
慌てていると、どこからともなく声が聞こえた。

『ずいぶんお困りのようですね。』

低くも高くもない落ち着く音程の声。

「誰ですか。」

ちょっとだけムッとしながら聞くと、声の主はのどの奥をククク、と鳴らして笑った。
なに笑ってんだ、とか思いつつ答えを待つ。
すると、フッと耳元に吐息を感じた。
バッと振り返ると、そこには執事服をまとう顔立ちの整った男性が立っていた。

「うわぁ!?」

あまりの驚きに飛び退く。
そんな私を見て、さっきより盛大に笑った。

「まぁまぁ、怪しいものではございません。」

そういって、にっこりと笑うと、うやうやしくお辞儀をした。