「あっ!かわいいおはな!これ摘んでお兄ちゃんにあげよー♡」

ポタッ

「え!あめ!あれ?そこにいたお兄ちゃんは?」

雨が強く降ってきた。

ピカッ


「きゃっ」

(転んじゃった……お兄ちゃん…どこにいるの…?)

「雷………こわいよぉ・・・・。」

「……おにいちゃんどこー?」

少女は徐々にか細い声になってきた。

(やだ・・・・・こわい………)

天気も一気に暗くなってしまった。

「や…だ…おっ…にぃちゃ…ん………」

少女の目からは涙が流れていた。

「おにいちゃーーーーん!!!おにいちゃんどこーーーー!!!!」

叫んでも叫んでも誰にも届かない。

雨でかき消されてしまう。

雨で喉が水っぽくなってしまった。
少女はその場に座り込む。

二つ結びの長い髪は地面について泥だらけになっていた。