好きで悪いか!



「はあー、ほんとタイミング悪いのな。人がせっかく諦めようと思った矢先に、別れるなよ」

「へ?」

「バイト先の娘に告られてさ。みやびのこと諦めるために、付き合おうっかなって思ったんだよ。お前がセンパイとらぶらぶなら、諦めつくしなって思って。話聞いたら、別れただと? はあー、どうすんだよ?」

「知らないよ、そんなの。勝手に……」

 決めなよと言いかけて、はっとした。

「駄目だからね、そんな理由でその娘と付き合っちゃ。ちゃんと好きな人と付き合いなさいね」

 じゃないと、相手の女の子は私の二の舞だ。

 先輩のことはまだ大好きだけれど、先輩は志乃さんが好きで、志乃さんはどこかの誰かと結婚してしまう。
 はあー、ほんと世の中上手く行かない。


「てことはー、みやびが俺と付き合ってくれるってこと?」

 どうしてそうなるのか。瞳を輝かせる、お喋りオウムをしげしげと眺めた。幸せの青い鳥に見える?
 夏の間にますます日焼けしたようだ。黒髪色白の友永先輩と対極的な、金茶色の髪に小麦色の肌。残念ながら、頭は残念そうに見える。

「いつでも俺がいると思って安心してたら、俺だって売り切れちゃうかもしんねえよ? 逃がした魚は大きいって後悔すんなよ」

 うーん、そうだなあ……

「まあ、そんときはそんときで。パピコアイスで釣るし」

「俺、安っ!」

 雅紀に元気づけてもらって家に帰り、メールが届いていたことに気付いた。
 友永先輩からだった。


『ごめん、言い忘れた。良かったら、また友達から付き合ってくれる?』

 これはまた不幸の始まりなのか、幸せへの扉なのか。分からないけれど。
 私だって妥協はしないと心に決めた。

 だって人生は一度きりだから。
 燃えるような恋をして、芯まで温めあって、余熱で一生を終えるくらいの情熱を注ぎ、注がれたい。







~好きで悪いか!~Fin.