「でもさあ、それを言うなら、園田先輩のことを邪魔だって思ってる人のほうが多いんじゃない?」

 お昼休み、家庭科調理室でお弁当を食べながら、優菜が言った。

 美希がスイーツ部の部長をしているということもあり、私たちの隠れ家的なランチ場所は家庭科調理室だ。
 場所的に人目に付きにくく、授業で使われる頻度も少なくて、内緒話にはもってこいだ。

「そもそも、今回のメールだって誰が最初に流したのかは分かんないみたいだけどさ。友永先輩と園田先輩の仲をぶち壊してやろうって思って、広めた輩もいると思うなあ。浮気だとか二股だとかって騒いでさあ、それを園田先輩が信じたら、友永先輩と別れるかもしんないし。そういう展開、みんな期待してたとか。あ、逆に園田先輩のファンかもしんないじゃん。友永先輩と別れればいいのにって、思ってるヤツ」

 確かに、美男美女のお似合いカップルである二人には、それぞれファンがいる。
 表面上は応援している風でも、駄目になればいいのにと願っている人もいるだろうし、単に幸せカップルが妬ましいっていうやっかみもあるだろう。

 自分はそうじゃないと言い切れないところに、後ろめたさを感じつつ、放課後友永先輩にメールした。


『こんにちは。突然すみません! 今日学校で、変な噂が広まっていると耳にして、友永先輩にご迷惑をおかけしていることを知り、メールしました。私のほうでも説明して誤解を解いていますが、先輩のほうは大丈夫でしょうか? ご迷惑をおかけしてすみません』