「最初は、『誰か知らない子』だったのが、『うちの学校の一年じゃん?』ってなって、みやびに辿り着いたらしいよ。本当? 友永先輩とって。ヤバくない? 園田先輩にも行ってると思うよ、情報」

 美希が心配そうに言う。

「大丈夫だよ。園田先輩、その日一緒にいたもん。友永先輩と、園田先輩と、三人で勉強してたんだ。園田先輩が先に帰って……陽射しがめちゃくちゃ暑かったから、日傘貸してもらっただけだし」

 嘘は言ってない。
 私の言葉を聞いて、二人はほっとしたような顔をした。

「なんだ、そっか。園田先輩も一緒だったってことは、浮気じゃないよね」

「噂って、どんどん尾ひれがつくもんねえ。友永先輩が浮気して、三角関係だの、修羅場ってるだのって聞いて、心配したよー。みやび、先輩のこと好きって言ってたしさあ。で、何で三人で一緒にお勉強してたわけ?」

「それはまあ、話せばちょっと長くなるから、お昼休みにでも。結論から報告すると、友永先輩とはお友達ですってことで」

 聞き耳を立てている周りの空気を察して、明るく言って、とりあえずこの場は話を終わらせることにする。

「好きな人と友達」という選択を、仲のいい友達には応援してもらえるかもしれないけれど、世間一般的には雅紀みたいに批判的な反応なんだろうなとは思うから。

 特に女子同士の僻みや牽制のし合いは、私も女子だけに分かる。
 友永先輩のことが好きで、憧れていて、だけど素敵な彼女がいるからと気持ちを押し殺している子たちからしたら、私の存在はとても「うざい」はずだ。