「何それ、バカじゃねーの」

 言うに事欠いて、それか。
 雅紀が手にしている、高級プレミアムアイスにじとりと目を向ける。

「好きなヤツとオトモダチなんてやってても、辛いだけじゃん。ソイツ、彼女いるんだろ? 彼女のノロケとか相談とかされてみ? 聞くのつれーぞ~。俺、超分かるわ。経験者は語る」

 そうか、雅紀は辛いのか。
 そうは見えないのは、男の努力なのかもしれない。「顔で笑って、心で泣く」的な?

「じゃあ雅紀、私とオトモダチやめる?」

「つか俺ら、別に友達じゃねーじゃん」

 マジか。まあ、薄々そんな気はしていたけども。

「オトナリサンは、やめるもやめないもねーだろ? どっちか引っ越すまでは、オトナリサン。これからもヨロシクお願いします。俺に彼女が出来ても、あ~逃がした魚はおっきかったな~って後悔すんなよ?」

「しないよ、大丈夫。雅紀に素敵な彼女が出来たら、あー良かったねオメデトウって、心から祝福するし。こないだテレビで言ってたけどさあ、隣人が幸せだと、自分の幸福度も高まるんだって。知ってた?」

 心理学バラエティ番組の受け売りを披露してみせる。
 きっと、身近な人が楽しそうにしていると、楽しさが伝染するって意味なんだと思う。

「あー、それでか。今俺が不幸せなのは、みやびが不幸なせいか」