「小田!」
「はい?! 今行きます」
部長に呼ばれ、デスクへ向かう。
「何か?」
「新しい名刺だ」
引き出しから、部長は新しい名刺を出して渡してくれた。
「あれ?・・・私、さっき変更のお願いしたばかりですよね?」
・・・何でもう出来上がってきてるの?・・・
「先に・・・作っておいてくれたんですか?
もし、私が旧姓のままで働くって言ってたら無駄に・・・」
「お前の事だ。必ず変更すると言って来るの分かってたからな」
部長は少し自慢気に言う。
「あはっ・・・よく御存じで・・・」
「長い付き合いだからな」
そう言って、私の手に名刺の入ったケースを載せた。
「改めて、入籍おめでとう。 幸せになれよ」
「はい。部長。 ありがとうございます」
デスクに戻り、名刺ケースを開け、中から一枚取り出した。
『大木 春夏』 名刺には雅也の苗字・・・
「ふふっ」
・・・嬉しい・・・こういうの見てると
少しずつ、入籍した実感が沸いてくる。



