哀しみの瞳

秀のアパートの中は、以外ときちんと整理されていた。秀の几帳面な性格が表われているような部屋だった。


ようやく理恵が落ち着いてくれたのを見て…


「理恵?どうした?何かあった?身体でもどうかした?
それとも、勉強の事?」



「秀は、いつも、いつも、理恵の事考えてくれてるんだね!ありがとう! ありがとうねっ、秀っ?」



「どうしたんだ、理恵!今日の理恵少しおかしいぞ!」

「……」俯いて、言葉が出ない。また泣けてきそう。



「ただ、秀に会いたかったの!」やっとの思いで言えた。


「それだけ?」



「それだけじゃぁ、だめ?」



「あはーん、分かってた!試験前でちよっと、ナーバスになったかな?
そうなんだろう?
困ったもんだなぁ!理恵はー…」


母に聞かされた事や、さっきの礼子の事など、到底話すことなど出来ない理恵だった。


(秀)
「こうやって二人で居るだけで…理恵は、幸せになるぅ―幸せになるぅ―受験は絶対、合格するぅ―合格するぅ―!」


(理恵) 「何っ、それっ!」



(秀)「秀の、おまじなーい! 終わり!」




「理恵!さっき、一杯走って、俺汗かいたから、シャワーするけど…
理恵も一緒にシャワーするぅ?」

おどけて見せる秀。


「嫌だっ―もうっ!」


「じゃぁ、俺の後に入るといいよ!そしてゆっくりやすめ!」