哀しみの瞳

礼子は、父に秀のことを、頼んでいた。

父 総一郎は、礼子の母親を早くに亡くして以来、礼子をそれはそれは、可愛がって育ててきた。法律事務所を開いて以来、がむしゃらに仕事をして、あこまで大きくしてきた。礼子の願い事は、大概叶えてやることにしている。


「この前、私の同級生の、吉川 秀っていう学生が面接にいったはずだけど」


「ああっ、お前がどうしても、面接してほしい人間がいるって言ってたやつか？」



「んんっ！とっても優秀でしょ？絶対にうちの事務所に入れてあげるべきよ！ そう、思うでしょ？」


「まぁ、現役で国家試験受かるぐらいだ。優秀なんだろう。
何だ！やけに肩入れしてるなぁ。
好きなのか？」


「さすが！父さん！分かってるじゃない！」



「そっかぁ、じゃあ、差し当たり、合格通知出しておくか？一度、私も会ってみようっ！本人になっ？」



「私の目に狂いはないわ！父さんなら、絶対気にいるわ…」