哀しみの瞳

その夜中、理恵の手が秀を読んだ。秀が付き添った最初の晩から、秀は理恵の手と自分の手をひもで結び、理恵に何かあれば、すぐに気付いてやれるように、眠ることにしていた。



(理恵)
「秀っ?居る?…」



(秀)
「どうしたんだ?理恵!俺は、此処にいるよ!」



(理恵)
「秀?どうしても秀にお願いしておきたい事があるの」



(秀)
「改まって…お願いって、何?」



(理恵)
「決まってるわ!秀一の事よ。……それと由理の事も」



(秀)
「何で今そんな事言うんだ!理恵…体直して俺と一緒に帰ろう?俺の住んでるとこへ、みんなで帰るんだ!…」
理恵は力なく首を横に振る。


(理恵)
「私は、もうだめ…生きれない…秀?ごめんなさい!一緒に帰りたいけど…私にはもうっ………」



(秀)
「理恵?……俺達ようやく巡り逢えたんだ。7年もの間会えずにいて…どれ程この時をまってたか!……なのに、何で……………」



理恵を抱き締めて、このまま連れ去れるものなら…どれだけいいか


あの暗闇の世界は、こういうことだったのか?