哀しみの瞳

(秀)
「あれぇ!ええっ………君は、もしかして、あの時の……剛っ?いやっ本田 剛君かっ?」


(剛)
「はいっ、あの時の剛です!本当お久し振りです。突然こんな所まで、押しかけて来たりしてすみません…」


二人は、美紀に促され、事務所の奥の応接間に通された。


(剛)
「俺と一緒に、今すぐ、行っていただきたい所があります。支度してください。今すぐです!」



(秀)
「ええっ!今すぐって言われても…」



(剛)
「……吉川が…吉川が、もうっ…」
言葉にならない~男泣きする剛を見て、秀は悪い予感がした。



(秀)
「理恵が、どうかしたのか?体の具合でも………しかし何故君が…」



(剛)
「…………」



(秀)
「すぐ支度して来るから。待っててくれ!!」

美紀は、二人の様子から、ただならぬ事が起きたのだと、気を利かせてくれ、美佐子と甚一に知らせてくれた。
秀は、理恵の為に大切に持っていた、御守りをしっかり背広の内ポケットに入れ、バックには2・3日の着替えと洗面具と財布だけを入れ、家を出た。



(理恵!!今から君の居る所へ向かうから。
俺が、着くまで……待っててくれ!)