哀しみの瞳

剛は、ひとまず、理恵の実家を訪ねた。
久し振りに理恵の家の前に立つ。
昔は人知れず、この家の前まで、よく理恵の顔見たさに来たものだ。



突然伺った事で、理恵の母親は、誰って感じで驚いていたが、事情を簡単に説明した上で、理恵の具合を、小さい声で、耳打ちした。母親は、物凄く驚いて、ひざ間付き、涙ぐんでいた。


理恵の母親は、あいつの住所を知っていた。理恵の居場所が分かり次第知らせる事になっていたそうだ。という事は、あいつも、どれ程の思いで待っているだろうか?


剛は、その足で、まっすぐに、教えて貰った住所の場所へ急いで向かった。
もう残されている時間は無い。




(川野税理士事務所)ええっ、税理士事務所?



(剛)
「ごめんください!」


(美紀)
「はぁーい、…
どちら様でしょう?」


(剛)
「こちらに、吉川 秀さん…いらっしゃいますか?…本田 剛と言いますが!」



奥より、声が聞こえたのか、秀が飛び出して来た…