哀しみの瞳

年末の行事を理恵は、気力で乗り切った。


おばあちゃんが、一生懸命、お正月のおせち料理をこしらえてくれた。剛も休みを私達と過ごしたいと、帰って来てくれた。楽しい団らんのひと時~

秀一は、剛には、何気に懐いていて、どちらが、大人か子供か分からない会話をしていた。秀一は、剛には、気が許せるのであろうと思った。


理恵の気力が、いよいよ、切れてきていた。


1月も中頃に差し掛かったある日~

いつも通り、遊技室を掃除している時… 理恵は、倒れてしまった。





気付いた時は、病院のベットの上だった。

小林が覗き込んでいた。腕には、点滴が―――


(小林)
「気が付いた?ようやく、此処へ来てくれたね!遅過ぎだぞ!」



(理恵)
「先生……すみません。私のわがままで………」


(小林)
「俺は…重ばあちゃんの家に日中に伺っては、君の体の様子聞きに行ってたんだよ!…」

(理恵)
「ええっ、先生がどうしてそんな事を?」



(小林)
「俺の言う事訊かない患者なんて。放っておこうって、思ったんだけどね。せめて具合だけでも聞いて、薬を処方して、重ばあちゃんに、頼んでおいたんだ。君に分からないように、飲ませて!ってね。」



(理恵)
「先生?…私……そんな事までさせてること知らなくて。自分の事ばかり考えて、勝手してごめんなさい…」


(小林)
「本当に、君みたいな、患者は、初めてだよ!もう、どうなっても、俺のせいにしないでくれよ!さぁ!もう少し休んで?」


そこへ (コンコン)戸を開けて、剛が慌てて入って来る。が…

「しっ!静かに!今また、休んだところだから」っと
小声で言い、外へ出ようと合図する。