哀しみの瞳

秀一のお誕生日会は、今年も、まごころ園で、全職員の方達に祝って貰った。今年は由理も一緒に祝ってもらえた。由理は、沢山の人にパチパチしてもらい、ピヨンピョンはしゃいで喜んでいた。


理恵は、心の中で呟いていた。


あと少し…神様!あともう少しでいいですから。私に時間をください!…………


理恵は、自分の体の事は、随分前から、うすうす気付いていた。


前に、まごころ園の事務所の書棚にあった、家庭の医学という本の中で自分の体に出て来る症状を、コッソリと調べた事があった。秀一を出産する時も、小林先生に近い事を説明されて、その時以来、絶えず自分に起きる症状を自分なりに、勉強していた。最近徐々に、体に抵抗力が無くなってきているのが、判っていた。食欲も無く、体のあちこちに赤いあざが、出てきていた。私は、もう……


秀一の誕生日のお祝いをしてあげれるのは、もう最後かもしれない…


由理!…由理、ごめんなさいね。貴女の2才のお誕生日には、母さん居てあげれないわ!…………