キーンコーン…
チャイムが鳴り、中川は何か言いながら教室を出て行った。
葵先輩もゆっくり中に入って行った。
午前中の授業はずっとボーッとしていた。
頭の中は葵先輩でいっぱいだった。
そして、お昼休み。
「どうしたら、奈央のそのテンションの上がり下がりは治るのかな」
私の机にお弁当を広げて言ってくるから、私は俯く。
友美の言うとおりだよね。
テンション上がったと思ったら、下がったり…
めんどくさいよね。
「会いに行っちゃえばいいのに、そんなに悩むんなら」
"会いに行っちゃえばいいのに"
私も出来るならそうしたいよ。
でも…
「何て声をかければいいのか分からない」
1年の私がどう声をかけたらいいのかさえ分かれば…
接点なんてないし。
「でもさ?そんなこと言ってたらこれからもずっと眺めるだけになっちゃうよ?好きの気持ちだけが先に行って…いいの?それで」
友美の言ってることは間違えてない。
その通り。
分かってるのに…行動にうつせないヘタレな自分が嫌い。
「…どうしよう」
そんな私に友美の盛大なため息が漏れた。

