みんなが帰った後、
私は北条先生を呼んだ。
「先生…聞きたい事があるの」
私が言うと北条先生は
「なに?」
と、優しく聞き返した。
「私、もう一ヶ月も生きれるか分からないんでしょう?」
私のその言葉に
北条先生は目を丸くして悲しそうな表情をした。
「昨日、聞いちゃった…。もう長くないんだったら、一つだけお願いがあるの」
どうしても、聞いて欲しいお願い。
一つだけ。
「私…帰りたい」
自分の家に、家族がいる家に帰りたい。
お母さんとお父さんと一緒にいたい。
「無理言ってるのは分かってるよ…?でも、毎日毎日夜寝るのが怖い…目を瞑ったらもう目を覚まさないんじゃないかって怖いの…誰もいなくなっちゃいそうで…ひとりぼっちで怖くてよく眠れないの…一日だけでもいいの。帰りたいの」
夢にも見る。
一生目を覚まさない自分が
夢の中にはいるから…
それがもうすぐ現実に起こるんじゃないかって、怖いの。
「…そうね。残りの人生好きなように生きるのも大事なメンタルケアよね。わかった。一日だけなら」

