生きることが、
こんなにも難しいのだと、
死ぬことが、
こんなにも怖いことを、
私は16歳で知った。
私の小さい頃からの夢は、
大好きな人と結婚すること。
結婚して、子供を産んで
幸せになるのが夢だった。
その夢が叶うことはもうない。
私の今の夢は…
生きること。
なのかな、と思う。
それしかないじゃない。
生きて、普通の人と同じようになりたい。
次の日。
友美と葵と涼太先輩と山下先輩が
私の病室に来ていた。
四人とも昨日のことは
口にはしなかった。
気遣い、なんだよね。
「そうだ、奈央ちゃんに報告があります」
と、涼太先輩が輝くような笑顔を
私に向けてきた。
「俺、卒業したらみーちゃんと結婚することにしたんだ」
みーちゃんとは、涼太先輩の彼女。
五年の付き合いらしい。
「そんなまだまだ先の事なのに今からそんな約束してんだぜ?バカだよなー」
山下先輩がバカにしたように言う。
葵は面白そうに笑っている。
「うるせぇ、俺らは本気なんだよ」
そう言う涼太先輩の顔は
真剣そのものだった。
「いいなぁ…結婚」
ちょうど昨日考えてたんだよね。
結婚、したかったな。
するとしたら、葵とだったよね。

