「奈央ちゃん、私も苦しいのよ」
先生はそう言いながら
パイプ椅子に腰を下ろした。
友美は気を利かせてか
トイレに行く、と病室を出た。
「奈央ちゃんに癌宣告をする時の苦しみは私にしか分からないわ。患者さんに、あなたは癌におかされてますって、話すのは尋常じゃないくらい苦しいのよ。私の言葉で悲しむ人たちをこれまでも何人も見てきた。その度に罪を犯した気分になる」
怯えるように、苦しそうに話す
北条先生はいつもよりも小さく見えた。
「初めて奈央ちゃんを見て、症状を聞いた時に感じた。この子は癌だって。本当、こんな直感が当たってしまう事に腹立たしかった」
だから、あの時私に検査を
進めたんだ。
最初から分かっていたんだね、先生。

