ヤンキーな彼にベタ惚れ。



「残念ながら奈央さんの脳腫瘍はかなりの大きさになってます。完治は望めないかと…進行を遅らせるための治療だと思って下さい。手術と放射線治療を行うということになりますがそれには二ヶ月かかります。転移はあまり考えられませんが稀に起こりうる事ですから手術をして一部だけでも取り除いておけば」



そこまで言った先生の言葉を
私は遮った。




「手術も放射線治療もしません」






それが私の答え。
自分で驚いた。


この状況を信じたくない自分が
いたのに、こうして戦おうとしてる自分がいることに。




「奈央、どういう事だ」




お父さんが焦ったような、少し怒ったような声色で言ってくる。


「だって…手術をしても放射線治療をしても完治はしないんだよ?それなのに私は病院にいて時間がたつのをジッと待ってろって?私の人生はそんなので終わりたくない。今しか出来ない事がどれだけあるの?私、何と無くわかる。手術したって私が生きられる時間は長くないって。きっと、何もしなくても一緒なんだろって思うの…私は私らしく生きたい」






"私らしく生きたい"



私らしいって、なんなのか。
わからない、わからないけど…

病院にいることが
私らしくないってことはわかるの。




私は北条先生の顔をみて聞いた。



「治療をしなかった場合の私の余命は後どれくらいありますか?」



きっと、私が思っているよりも
短いんだろうなと思いながら聞いた。






「長くて、半年」






長くて、半年…
半年でも長いんだ。


強がったって、それを聞けば
やっぱり怖いんだ。

私の目からは涙が流れていて
お母さんも泣いていて。


「私、高校生になれて嬉しくてたまんなくて…好きな人も出来てデートもして幸せなんです今。きっと人生で一番幸せだと思います」



今以上の幸せなんて、
あるのだろうか。

そんな私が、もう長くは生きられないなんて。