ヤンキーな彼にベタ惚れ。



『はい、出来ればご一緒の方がよろしいかと』



ドクン…
胸騒ぎがした。
親子で来いなんて、嫌な予感しかない。




「すいません。主人は仕事で不在なんです」



そう言うと、北条先生は
病院で待ちますと言い電話は切れた。




ガチャ…


同時に奈央が帰ってきた。




私は慌てて食事の準備に取り掛かる。


「奈央?今日…」



"昼からあいてる?"


と、聞こうとしたら



「お母さん!今日はデートだからご飯いらないから!」


と言う声に遮られた。




デートか…
そういえば奈央、彼氏出来たって
言ってたわね。




「あら〜今度紹介しなさいね?」


私が言うと、奈央は嬉しそうに

「はーい」

と言って自分の部屋に行った。


きっと着替えて、おしゃれして行くのね。





じゃあ、病院には私一人で行こう。
先生には私から謝ればいいもの。






奈央が出掛けたのを確認して、
私も出る支度をする。







病院に着くと、
受付の人に案内されたのは
この間とは違う別の部屋だった。

中はシーンとしてて暗い部屋だった。




椅子に座り先生を待つ。



五分くらいして、北条先生はきた。



「お待たせしてすいません。…奈央さんは…」



私は立ち上がって頭を下げる。


「すいません。奈央は今日出かけると言って…」


「そうですか。わかりました」


北条先生はそう言って
座ったので、私も座る。





少し間があいて、
北条先生が口を開いた。





「この間レントゲンを撮ったエコーなんですが」


そう言って机に置いたのは、
何やら脳の中を写したのだろう写真だった。
これがエコーというものなのか。




「…単刀直入に結果を言わせてもらいます。奈央さんは」




北条先生の次の言葉を聞くのが
なぜだか怖かった。

でも、聞かなければいけない。





「癌です」






短いその答えに、
私は何も言えなかった。
声を出せなかった。




"癌です"


この言葉が頭の中で何度も
リピートされていた。