「…………っ」




クソ…


「……俺はあの時の俺じゃない」


こんな事、言いたいわけじゃ無いのに。


立花が笑ってくれたことが、今すぐ抱きしめてやりたいくらい嬉しいのに。


素直じゃない俺は、

いつだって逃げてばかりだ。



言わなきゃ。



「今の俺はお前なんて知らない」



ズキズキ、
痛む心臓。

こんな痛み、俺が受けて当然だ。


こんな汚れた俺なんか。



彼女が言った通り、声も背も……………………
目だって、全然違うじなゃないか。



立花も、知らない人みたいに変わっている。



お互い、


変わったんだよ。




ズルズル気持ちを引きずっている俺は、可笑しいんだ。



しばらく続く沈黙。


時計の音だけが、俺の鼓膜に届く。


きっと高崎は今頃、白石をチラチラ見ながら授業を受けているんだろうな…



立花は俺を真っ直ぐ見据えた。



「…それでも、私の中では日向くんだよ」



「……は?」



声は掠れてほとんどで無い。




「日向くんが、違うって言っても。私の中ではあの時からも………今も、日向葵生くんだよ」



そう言って彼女は笑った。