「昨日の…」



昨日の?と、私が首を傾げると、日向くんはため息を着く。



「お粥……とか、その他色々。…わざわざありがとな」


ゴニョゴニョと、聞きとりにくい声で言う日向くんは、まるで照れているみたいで…

あれ…?これってもしかして照れてるのかな…



か、可愛い…!


「え……あ、いや……その」


そんな日向くんの姿に驚いてしまって、私の口は言うことを聞かない。


「 なに ?」


「いや…こちらこそどうも」


私がしどろもどろ答えると、日向くんはクスリと笑った。


これで笑った顔を見るのは二回目かな。


なんだろう…
前より優しい顔で笑った気がする。



「美味かった」


笑顔に加えて更に一言。



目を細めて微笑んだまま、日向くんは私にそう言った。



「(…今のは………ちょっと反則じゃないかな……っ)」



あんな顔、初めて見るのに。


あんな優しい顔___


日向くんにそう言ってもらえたことが、予想外にもこんなに嬉しいなんて。

心臓がバクバク音を立てている。



「………そっ、か。…良かった」



体温が上がって口が回らない。


私の脳内を占めるのはさっきの笑顔。


きっと誰もが羨むような一瞬を見てしまったんだろうな。


「(心臓…うるさい…)」



日向くんは横で頬杖を着いたまま、先生の話に耳を傾けている。




ギュッと、私は強く手を握り締めた。