高崎はあたしをゆっくりと離す。




こんなに簡単に、あたしに触れてくれたのに


なんでいままで……



「……高崎は、…あたしと、キス…とかしたいと思ったことないわけ?」




「はぁ?」




「だ、だって!もう付き合って5ヶ月も経ってるのに……!」




小夏にまで遅いって言われたのよ!?




「いや、だって……華ちゃん嫌なのかと思ってさ……そーゆーの。…昨日だって避けられたし」




「昨日のは……!その……意識したら、急に恥ずかしく、なっちゃって……」




「ははっ、かわいー」




「はぁ!?」




「ご、ごめん……」




なによこれー…



「俺が華ちゃんとチューしたくない、なんて思うわけねーじゃん」



高崎はいつもの笑顔でそう言うと、あたにの頰に手を伸ばした。




「華ちゃん、好きだよ」




夢にまで見たこの瞬間。


いままでで一番幸せなキス。


頭がクラクラした。



あたしも、……君が好き。





ーバタバタバタッ




「__ねぇ、今の足音って……」



鼻先き数センチの彼にあたしは言った。



「あちゃー…完全に見られたな、今の」



「嘘でしょ…………」



「ま、いっか」



「よくないわよ!!」




顔、バレてないといいけど……


あたしと高崎が付き合ってるって噂ならまだしも、


二人が教室でキスしてたなんて噂になったら……



……死ぬ。




「ね、華ちゃん」




私は廊下の方を眺めたまま、返事をする。



高崎は楽しそうに、ニコリと笑った。




「明日も早起き、する?」




「〜〜〜〜馬鹿ッ!」





まだまだ素直じゃないあたしだけれど、

明日は、今日より素直になって



いつか必ず、もっとしっかり

君に好きって言えたらいいな。




高崎なんかに聞かれるずっと前に、


明日も早起きしよう、なんて思ってたことは


彼には内緒。







おまけ fin.