「なぁ、立花さんってデレたりすんの?」




「は?」




なんだ、急に




「いや、流石に葵生の前ではデレたりすんのかなーって」



高崎は頬杖をついて言う。




「さぁ?」



「さぁ、ってお前……」


訳のわからない質問をしてきた高崎に対して、俺は一言返事をした。



だいたい、そんなことお前になんか教えるかっつーの、バーカ。



「お前はどうなの?白石と」



俺が聞き返すと、高崎は大きなため息を着く。



「見りゃわかるでしょ」



そう言って小夏と楽しそうに話している白石に視線を向けた。




「華チャーン」



相手に聞こえるような声でそう言うと、ヒラヒラと右手を白石に振る。



その声に気づいた白石は、顔だけをこちらに向けて “ハイハイ”とでもいうような顔で手を挙げる。


俺から見ても顔色ひとつ変わらなかった白石。



「(コイツら本当に付き合ってんのか…)」



流石に俺もちょっと不安になる。


白石がポーカーフェイスなだけなのか、
それとも
俺の知らないところで高崎がウザすぎて、ああなってしまったのか。




白石は数秒間だけこちらを向いた後、また小夏との会話に戻る。




「ホラね、」



困った顔で笑うと、高崎はふぅ、とため息をついた。



俺はなんて言ったらいいのか。



「ま、そこも可愛いんだけどね〜」



その言葉を聞いて、“頑張れ”と、言いかけていた口を、俺はすぐさま閉じた。