私が大きな声でそう言うと、日向くんは手を離した。



呼吸が詰まる。




いろいろ大丈夫じゃない。


どうしよう。



ヤキモチどころか、それ以上
100倍に返されてしまった…



心臓が苦しい…、、


バクバク鳴り止まない私の心臓と、浅い呼吸のせいで、頭がクラクラする。



強引に手を引っ張られて、日向くんに連れられて着いたのは、私の家。



私の家に着くまで握られていた日向くんの手は、いつもより力が強くて
なんだか嬉しかった。



「_____私の家…?」



「いや、今日寒いから。もっと重ね着してこい」



日向くんに言われるがまま、玄関に彼を残して
私は自分の部屋へ行き、マフラーを首に巻いた。


一年ぶりのその感触に、時間の流れを感じる。



玄関に戻ると、「公園行くぞ」と日向くんにまた手を握られた。



いつもと少し違う日向くんの雰囲気に、不思議な感覚を覚える。



薄暗い空の下、私と日向くんは昨日と同じようにベンチに座って、もう随分まえに太陽が沈んだ空を眺めた。



紫がかった空の色。


優しい金木犀の香りに、小さく聞こえる虫の音。



隣に座る日向くんが口を開いた。



「小夏からシて?」



「えぇっ!?」



急に何を言い出すと思ったら。


学校でのことから時間は経ったけど、日向くんの気持ちは全然おさまっていなかったようだ。




「……するって、何を?」



「さっきお願い聞くって言ったよな」



言ったけど………



あんな状況で言われたら
誰でもハイッて行っちゃうでしょ…



「約束破るとかナシだぞ」



冷たい手が、私の頬の肉をつまんだ。



「う。 いひゃい……」



私のうめき声に、彼はゆっくりと手を話す。


そしてクスリと笑った。



「してくんないの?キス」




「なっ…!」




サラッと言い過ぎだよこの人…!?



「今更その初々しい反応やめろよ」



日向くんはケラケラと笑う。



だって、だって…!


さっきも…………(たくさん)したのに…

これ以上してましまったらどうにかなる。



それに、


今日の日向くん強引だし……

恥ずかしくて心臓が持たないよ…



「やだっ!!無理です!できない!」



私がブンブン首を横に振ると、日向くんはその答えが来るとは思ってなかったのか、目を丸くした。