だけど、そうやって時間が過ぎて行って

強く慣れたらいいな、って、


そう思えるようになった。





見慣れた景色にもさよならをして、あたしは必死で彼の後ろ姿を探した。


廊下、教室、屋上


何処にもいない。




あたしがこうやって居る間、裕也は泣いて居るのだろうか。



あたしが言い終えた時、いままで見た中で一番泣きそうな顔をしていたから



そんなことを、思い出してしまうし



ほら、やっぱり泣いてしまうんだ。





ぐっ、と
喉の奥を締め付けられる。



「(ダメだ……)」




誰も居ない玄関に、
ぽつんと居たその影は


涙を流したあたしの目に映る。



心臓がドクドクいっているのがわかる。




その眩しい彼の、背中で


バレないように涙を拭いて


息を吸い込んだ。



「高崎っ!」








もう



泣かない。