ヒマワリ君の甘い嘘

その微笑みに、さっき以上に早くなる心臓。




なんでこんなこと、言えちゃうのかな…




ズルい。




高崎って、こんなにも大人だったっけ?



あたしの中の高崎の記憶が、一気に塗り替えられてしまった。



こんな高崎なんて、

知らない。




あたしが知ってる高崎は、
明るくて、
いつも楽しそうで、
笑ってて、
悩みなんてなさそうって、思ってた。



いま目の前にいる本人とまるで違う。





「高崎、変わったね」




「そう?…白石も変わったよ」




「あたし?…どこが」




まさか、そっくりそのまま帰って来るなんて思ってなくて、少し焦った。




「あんまり笑わなくなった」



言われてみれば、そうかも。


いつも楽しく居たつもりだけれど、お腹のそこから笑ったのなんて、ここ最近ないや。



「今は、なおさらそうなってしまうの」



察しなさいよ、バーカ。



「じゃあ、俺と居る時だけでも笑って居てよ」



「そんな無茶は事で__



「俺、白石の笑った顔好きだし」



「な、……っ」



行動にうつせない、

好きな人を困らさたくない、

って言ってたのはどこのどいつよ!!



矛盾してるっての!




「今度は嘘着いたりしないから」



「・・・・」



「きっと、いいことあるから」



「ね?」と、お願いをされてしまったけれど、そんなの
恥ずかしくなるばかりだよ。




あたしは、そっぽを向く。



そうしていないと、顔が真っ赤になってしまいそうで。



いくらあたしでも、こんなにもストレートでぶつかってこられたら、普通で居られない。



イケメンなくせに、無愛想で口悪い日向なんかより、
高崎のほうが全然強いかもしれない…





そっぽを向いたあたしを、見て
高崎は大きく笑った。





そんなふうに笑われると、
からかわれているみたいでなおさら恥ずかしい。




む、とした顔で高崎を睨めば「怒った?」と言ってまた笑う。



完全に楽しんでいるみたい。




すごくムカついて、


恥ずかしくて、



どうしようもなかったけど、



やっぱりその笑顔だけは、
ちょっと羨ましいなって思った。