あたしが、口を挟むことではないけれど、
高崎らしくない、って思った。
「わかった」
あたしは返事をすると、高崎と同じように、自分のお昼を片付けることにした。
なんだろう、この変な気持ち。
納得が行かないって言うか、……
「あたし、裕也と別れたよ」
言うことを聞かないあたしの口は、高崎を挑発するような事を口にした。
自分で言ったくせに、高崎の顔を見ることができないなんて、
自分の弱さに驚いてしまう。
なんて、嫌な女になってしまったんだろう。
フラフラ、足元おぼつかず、下ばっかり向いて。
言ってから、後悔してしまった。
高崎があたしのことを、好きだと
知った上でこんなこと言うなんて、
高崎のこと、好きでもないくせに。
誰かに慰めてもらいたいだけなのかもしれない。
「(最低…………)」
「そっか…」
優しい声で、彼は言う。
なのに、あたしは____
「ラッキー、とか 思ったりしないの?」
今日は、なんて長いお昼休みなんだろう。
昼休みが始まって、まだ15分しか経っていないなんて、驚きだ。
あたしのと問いに、少しだけ黙った後、高崎は口を開いた。
「俺も男だから、それは思わないっていったら、嘘になるけど…」
そう言って、困ったように彼は笑った。
「ラッキー、って言って、俺が行動に移せると思う?」
告白っていう大事な行事を、パンを食べてる間に終わらせたアンタが言っても、説得力なんかないんだけど…
「今だって、自分で言ったことに後悔してるよ」
「どうせ言うなら、もっとカッコつけたかったな」と彼は付け加えた。
「なにそれ……」
あたしは、口を尖らせる。
「それに、もし俺が今、行動しても 白石は困るだけだろ?」
そう言った、高崎の顔に
不覚にもドキっとしてしまった。
悪戯っ子のような、笑みでそう言ったから…。
「好きな子は、困らせたくないよ」


