ヒマワリ君の甘い嘘



まぁ、相変わらず女子の人気だけは変わらないままよね…



日向が、小夏と付き合ってるってコトは、たぶん 皆知らない。



小夏がわざわざ言うわけもないし、日向だって、



もしそうだと学年に知れたら、どんなことになるのだろうか。



日向のことが好きな女子が、小夏に嫉妬して、めんどくさいことになったりしたらどうしよう。



そんな事で小夏には悩んで欲しくないな……____



「それと、」



「(あ、…まだ続いてたんだ…)」



まだ高崎の話はおわっていなかったみたい。



「好きな人とお昼一緒なんて、嬉しいじゃん?」



あー…、うん…まぁ……、




って、




「っはぁ!?」



「あれ、俺言ってなかったっけ?」



いや、ちょ……


いまサラッと凄いこと言わなかった?この人…



あたしが見ると、高崎は何食わぬ顔でパンをまた一口頬張った。



「バレてると思ってたんだけどなぁ〜」



いやいやいや…!



頭が着いていかない!



告白って、こんな簡単に完了しちゃうものなの!?




箸から落ちそうな卵焼きを、震える手つきで必死にお弁当箱に戻し、その手を膝の上に置いた。



「あはは、そんな顔しないでよ」




お、落ち着け…あたし…




「何言っちゃってんの…」



びっくりしすぎて、何も言えない。



照れるとか、嬉しいとか、

そんな気持ちなんか吹っ飛んでしまったまま、戻ってこない。




「ほんと。 …こんなタイミングで言うつもりなかったんだけどな〜」



「・・・・」




なんで笑っていられるんだ……


告白されて、数分前と変わらずお弁当を食べ続けるあたしも、あたしだけど…。




「(ダ………ダメだ……)」




こういう時こそ、静かにモノを言わないと…



そう、思ったのに。




「大丈夫だって。付き合ってとか、言ったりしねーから」



高崎に先を越されてしまった。



あたしは言いかけた言葉を飲み込む。



「だから、白石はいつも通りにしてていいよ」



高崎はそう言って微笑むと、空になったパンの袋を几帳面に畳みはじめた。




なによそれ…



言うだけいって、それでお終いでいいわけ?