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「いただきまーす」
ついにこの時間が来てしまった。
あたしの目の前に座る高崎は、平喘とした顔でパンを頬張る。
あぁ…あたし、なにやってんだろう…
クラスの隅で向かい合ってお昼を食べるあたしと高崎は、女の子ばかりの教室で少しだけ浮いていた。
クラスの女子たちは、おしゃべりに夢中で、あたしたちになんか全然気付いていないけど。
モグモグと、口を動かしている高崎を見れば、目が合ってしまって、それにあたふたしているあたしに「うまいよな〜、昼飯」なんて、なんでもない顔で言って笑い飛ばすの。
完全にあっちペースじゃん。
「なんで、あたしとなんかお昼食べるの?」
思わず率直な疑問をぶつけてしまった。
もうちょっとオブラートに包んだほうが良かったのかもしれない。
「俺が食べたいからだけど…、?」
いや、それはそうだけども…。
「高崎人気者だし、他にも食べる人沢山いるんじゃ…」
…、あれ?
そういえば…
最近高崎が日向以外の人と、話しているの見ていない。
「俺、最近葵生とばっかいるじゃん?」
高崎はそう言って、誰も座っていない日向の席に視線を向けた。
「割と、葵生のこと苦手な人多いみたい」
「…そう、なんだ」
「まぁ、アイツ無愛想だし、口も悪いし上辺だけで絡んでれば、ただの嫌な奴だもんな」
確かに、高崎が言う通り、自分から仲良くなろうっていう気持ちがない限り、日向とは仲良くなんかなれない。
あたしも、そう思う。
「だから、葵生が側に居るとみんな話しかけにくいみたい」
そして「ま、女子はちげーけど」と、付け加える。


