ヒマワリ君の甘い嘘





***






「いただきまーす」




ついにこの時間が来てしまった。



あたしの目の前に座る高崎は、平喘とした顔でパンを頬張る。



あぁ…あたし、なにやってんだろう…




クラスの隅で向かい合ってお昼を食べるあたしと高崎は、女の子ばかりの教室で少しだけ浮いていた。



クラスの女子たちは、おしゃべりに夢中で、あたしたちになんか全然気付いていないけど。




モグモグと、口を動かしている高崎を見れば、目が合ってしまって、それにあたふたしているあたしに「うまいよな〜、昼飯」なんて、なんでもない顔で言って笑い飛ばすの。




完全にあっちペースじゃん。





「なんで、あたしとなんかお昼食べるの?」



思わず率直な疑問をぶつけてしまった。



もうちょっとオブラートに包んだほうが良かったのかもしれない。



「俺が食べたいからだけど…、?」



いや、それはそうだけども…。



「高崎人気者だし、他にも食べる人沢山いるんじゃ…」



…、あれ?



そういえば…

最近高崎が日向以外の人と、話しているの見ていない。



「俺、最近葵生とばっかいるじゃん?」



高崎はそう言って、誰も座っていない日向の席に視線を向けた。



「割と、葵生のこと苦手な人多いみたい」



「…そう、なんだ」



「まぁ、アイツ無愛想だし、口も悪いし上辺だけで絡んでれば、ただの嫌な奴だもんな」



確かに、高崎が言う通り、自分から仲良くなろうっていう気持ちがない限り、日向とは仲良くなんかなれない。


あたしも、そう思う。




「だから、葵生が側に居るとみんな話しかけにくいみたい」



そして「ま、女子はちげーけど」と、付け加える。