目に涙を溜めた私の頬に、日向くんの手が伸びてきて、むに と摘まんだ。
「な……なに…」
日向くんを見れば、少しだけ拗ねた様な顔。
いつもどおりの顔かな。
私が最近、優しい顔の日向くんしか見てないから、そう思うだけかも。
「そんな顔すんなよ」
つねる力が強くなって、少し痛い。
「ちゃんと好きだよ。 心配すんな」
ニッと、子供の様に笑う。
「(ずっずるい…………!)」
不意打ちだ。
そんな笑って言うなんて。
「うーーーーー…良かったぁ〜」
泣きたくなんかないから、涙を我慢するんだ。
「泣くなって」
「泣いてない」
矛盾した私の震えている声を聞いた日向くんは、笑う。
「ありがとう」
そう言って優しい笑みで私を見た。
黒色の優しい瞳に顔を真っ赤にした私が映る。
「ー小夏は俺の彼女になってくれる?」
やっぱりずるい。
せっかく我慢していたのに、
日向くんのせいだ。
大きな涙が、私の顎を伝って手の上に落ちた。
「なってもいい……の…?」
日向くんは、涙でボロボロの私を見て、また目を細めて笑うと、紺のセーターの袖で、私の涙を拭った。
「もちろん」
そのまま、ぐいっと引っ張られポスン、と日向くんの腕の中へ。
「お前、俺との関係、不安だったんだろ」
クスクスと、笑って私に言う。
な、なんで知ってるのこの人…!
「……それ…なんで……__
「お前、顔に出やすいんだよ。気付け」
確かに…
すぐ赤くなるし、口だって回らなくなるし…態度に出やすいのかも……
今だって、数センチ先に日向くんが居るから、顔が赤いし声も震える。
「ま、その方が俺は嬉しいんだけど」
最後に一度だけぎゅっと力を強くした後、日向くんは身体を離して、さっきのように寝転んだ。
「どういう意味______きゃ!」