「伊藤くん執事似合うね!かっこいいー!」

「ありがと...」

ちゃんと笑えてるかな俺。

でも、瑞穂以外の女にかっこいいとか似合うとか言われても全く嬉しくない。
何も感じない。
瑞穂にどんだけ惚れてるんだ俺は...

「それでは、ごゆっくり!」

やっと瑞穂の接客が終わった。
俺はほっと胸をなでおろす。
瑞穂の様子を見ていると何もされなかったみたいだ。

が、しかし。
翔は瑞穂の手首を掴んだ。

「...へ?」

瑞穂は驚いている。
俺は思わず凝視してしまう。

「俺の名前は、浪川翔。覚えておいて欲しいな」

瑞穂...

「承知しました!ご主人様!」

瑞穂は翔に笑った。
でも俺にはわかった。
本当の笑顔ではないことが。

瑞穂はくるりと俺の方を向く。
そして、天使のような笑顔を見せたんだ。
本当の笑顔。

瑞穂...気づいてたのか...
やば...俺超だっさい...。

なに俺は意識してんだよ...。
恥ずかしい反面、俺は嬉しくてたまらなかった。