ちなみに考えたのはもちろん華。
あいかわらずばかげている...

「あの、顔真っ赤だよ...?」

「へ?あっ...すっごく恥ずかしくて...」

「ふふふ、かわいいメイドさんだ」

その言葉にさらに顔が熱くなる。
なんだか、ちょっと馬鹿にされた気分だよ...。

「それでは、ごゆっくり!」


担当の仕事はここまで。
私は男子生徒から離れようとした。
が、がしっと私は手首を掴まれた。

「...へ?」

「僕の名前は、浪川翔。覚えておいて欲しいな」

浪川翔くん。
彼はにこっと笑った。

そのとき、なんだかほかの方から視線を感じた。
視線の正体はわかっている。
大樹だ。

私は手首を掴んでいる手をすっと離し、

「承知しました。ご主人様」

営業スマイルをした。

そしてすぐに大樹を見た。
すぐに目が合う。

私は、今ある大樹への気持ちが思いっきり笑った。
大樹にはわかるよね。
営業スマイルと本当の笑顔の違い。