そう思うと苦しくて、悲しくて……。

だけど泣くのも惨めすぎた。


「あはは、ばかみたい……」

だからあたしは笑う。

その声は、だけど、とても乾いたものだった。

胸が締めつけられてすごく痛い。

涙だってあふれてきた。


泣きたくなくて、うわ掛け布団をぎゅっと握って下を向く。




――季節は真夏。

それなのに、体は冷たくなっていく……。



だけど、その寒さは長くは続かなかった。

あたしの体は、まるでブランケットにでも包まれたみたいにあたたかくなったんだ。



背中に力強い腕が回る。


いったい誰だろう。


そう思ったけれど、グエンはさっき出て行った……。

この部屋にいるのは、あたしを除くとただひとりしかいない。



それは、あたしにとって、ありえないって思える人物……。



「アール、よく聞け。お前はいらない子なんかじゃない」