『行けよ』
『……うん』
クラスメイト達と集まるのが嫌だとか、そんな理由じゃなくて、ただ単に彼がわたしのいないところに行ってしまうのが嫌だった。
携帯も鳴らない自室で顔のない女の子と笑う彼の姿を妄想しては、傷跡ばかりの腕を上塗りするように汚していた。
『なんでそーやって腕切んだよ。やって意味あんの?それ』
彼の部屋で俯くわたしは高校を卒業しても、自傷行為からは卒業できずに、腕の新しい傷が彼に見付かってはこうして怒られた。
『そんなもん痛いだけだろ?いい加減やめろよ。腕そんなぼろぼろにして、人に見られて恥ずかしくねぇの?』
なにも言えずにひたすら泣いて、自分の惨めさに唇を噛んだ。
こんなふうに突き離されるなら、いっそ殺してほしかった。
流れていったはずの感情は次から次へと湧いて出て、目を閉じてそれを拒否すれば、じわじわと脳が腐っていく感じがした。



