でもわたしを欲しいと思ってくれる彼に、たまらなく幸せを感じた。
わたしは幸せだった。
彼がいてくれたらそれでよかった。
彼の腕のなかにいれば眠れない夜も憂鬱じゃなかったし、彼がとなりにいてくれたら作り笑顔も苦じゃなかった。
『ねー、たいらー』
『なんだよ』
『すきー』
彼の膝枕でくつろげるわたしは、特別な女の子だって思えた。
―――決して、幸せなことばかりじゃなかったけど。
『ねぇ、明日どこいく?』
『あ、俺明日、体育祭の打ち上げ』
2年からクラスの違う彼とは、行事があるたびに離れ離れで行動しなくちゃいけなくて、一緒にいられないこともあった。
『おまえのクラス打ち上げねぇの?』
『あるみたいだけど…』



