【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―

花音も柊もそうだった。

かっこいいって騒いでた先輩に彼女がいたと知っ てもサッカー部に入部した花音。

油絵に一目ぼれした先輩が嫌な奴だったとか、留 学しちゃうとか笑って話しながらも、毎日通う 柊。

皆、片思いしている。 辛いし、不安だし、泣きたいこともあるんだけ ど、それでも好きだから。

皆、笑いながらも片思いしているんだ。

好きだから、迷ったり、不安になったり、苦しく なったり、

ちょっとでも勇気を出したら、それは喜びに変 わったり、失敗しっちゃったり。

でも、逃げなかったら、きっと、少しは両想いに 近づける気がするんだ。

「あの、私も参加します!」

恐る恐る手を上げて、ボールを持ったままこっち を見る奏先輩と、腕組する凛君の傍まで歩いて行 く。