握りしめた両手が、汗ばんでいくのが分かる。
本当に凛君は、余裕なのかな?
――わざと負けたり、しないよね?
そんな嫌な考えが頭に過って、何度も何度も首を 振って打ち消す。
下を向いている間に、また凛君がゴールを決めた のか、ボールが落ちて行く。
「ダメだよ、あきちゃん。ちゃんと見なさい」
ぺちんと太ももを軽く叩かれて、顔をあげる。
不安で視界がぐにゃりと歪んでいる気がする。
「で、不安ならちゃんと応援して、あきちゃんの 気持ちを届けないと」
そう言うと深雪先輩は、大きな声で奏先輩の応援 を始めた。
もし凛君が外して、奏先輩が外さなかったら、深 雪先輩の片思いは片思いのままになってしまうの に?
なんで深雪先輩は応援できるんだろう。



