【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―




「面倒だからルール無しの、先に外した方が負け ね」

「自信満々だな」

淡々と体操を始めた凛くんと、器用にボールを 持ったまま松葉杖をつく奏先輩。

試合前のワクワクしたような様子の二人が、よく 分からない。

凛くんに関してはどんなつもりなんだろう。

「奏先輩! り、凛くんは、小学校からずっとバ スケ部の部長だよ」

「――だから?」

奏先輩はゴールを見つめたまま、こっちを見ない で素っ気なく言った。

「あきが話しかける相手は、違うだろ」

「あき」

ぐいっと引っ張られて、振り向くと凛くんが私を 見下ろしていた。

「悪かったな」

ポンポンと頭を叩かれて、涙が滲んでしまう。

「泣かせてばかりだ。こんなつもりじゃなかった のに。自分で自分の悩みのハードルを上げてしま うなんて」

「……それでも私の気持ちは変わらないんだもん」

「そっか」

ぐるぐると足の間接を曲げながら、凛くんは笑っ た。

「覚悟決めなきゃな」