【完】両想い予備軍 ―みんな誰かに片思い―





キュッキュッ

体育館の床を蹴りあげる音、

ざわざわとおしゃべりする声。

部活の始まる時間が近づいてきたのか、どんどん バスケ部が体育館に入ってくる中、

居心地の悪い空気に、吐き気がしてきた。

凛君は、周りに気づかれないように無表情を作っ たまま。

「あんなに仲よさそうに話していたのに、あきは 俺に何を信じさせてくれるんだ?

あきが叫ぶと、俺の声は聞こえないと思うよ?」

「痛い痛い痛い! 深雪、俺、怪我人!」

「今度したら、またバスケができない時間が延び るからね!」

「ちょっと、あきも冷静になる時間がいるんじゃ ないかな? そうしたら、きっと、答えが出ると思うけど」

違うの。 不安なの。 だからそんなこと言わないで欲しいの。

どんな場所でも、 微かで見逃してしまうかもしれないけど、

凛君の家で見せるような、 小さいころからずっと隣で見守っていてくれてい た時のような、 安心できる二人だけの、凛君を見せて欲しいだけ なんだよ。